Wing Flex System

Technical information
from
Bruce Goldsmith



Wingflex-Systemは、1996年にAIRWAVE設計チームによって初めて開発されました。このシステムは、スピードに合わせてキャノピーの安定度をコントロールするものです。現在では世界で製造されるパラグライダーの約半分にWingflex-systemと同様の翼構造が用いられています。
Wingflex-systemを採用した最初のコンペプロトタイプは1997年に製造され、ジョン・ペンドリーを世界選手権優勝へと導きました。又、同じ年のPWCにおいてもシーズンの大半にわたりピーター・ブリンクビーをトップの座に導いたのです。1998年には、設計者ブルース・ゴールドスミスに対してロイヤルアエロクラブの代表であるアンドルー王子から、ジョンの世界選手権優勝にあたり科学技術面で多大な貢献をしたとして、Salomanトロフィーが授与されました。

もしかするとWingflex-systemという名前は、このシステムを正確に表す名前ではないかもしれません。
なぜならこのシステムの本質はグライダーの下面のライン・アタッチメント(タブ)をコード長の変化に合わせて最適化することであるからです。パラグライダーのデザインにあたり、プロファイルのコード長に合わせてパーセンテージ・ポジションでタブの位置を修正するのが従来の方法です(図1)。タブの配置は一般的におよそ、リーディングエッジからAタブが10パーセント、Bタブ30パーセント、Cタブは55パーセント、Dタブ80%前後と配置されています。しかし、翼端に向かってテーパーの付いているパラグライダーの全面に渡り同じバランスでA,B,C,Dのタブが取り付けられていたらどうなるでしょうか?アクセルを使用した時に大きな問題が起こる可能性があります。スピード・システムは、ライザーの長短を変えることによってグライダーを加速するものです。よってパーセンテージポジションでタブを配置してしまうと、翼端よりもセンター部分のコード長が大きいという理由で、アクセル使用時に意図しない翼端の大きなねじり下げが発生、翼端に近づくにつれセンターよりも大きく加速されてしまうのです。この結果、全体として翼の限界速度に達するよりはるかに遅い速度のうちにコラップスを起こしてしまうはずです。
図1

この問題を解決するために考案されたのがWingflex-systemなのです。
初期のWingflex-systemでは翼全体にわたってA,B,C,Dのタブ間の距離が同じに保たれる様にタブが配置されました。(図2)
もし翼のセンターにおいてAタブとBタブの間隔が50 cmならば、チップにおいてもAタブとBタブの間隔は50 cmであるべきだという考え方です。これはアクセルを使用した時に翼全体の加速の度合いを一定にする意味を持っていて、パーセンテージポジションを採用したグライダーよりも安定性を保ったまま加速できることを表しています。 Wingflex-systemシステムが持っている、もう一つのの副産物的好影響は、Cタブ及びDタブが翼端付近ではその配置スペースを失い、結果として総ライン長が短縮でき、ドラッグの軽減を図れる事です。
図2

しかし、このダイヤグラムはWingflex-systemに一つの問題があることも示唆してます。翼端付近でCタブ、Dタブが配置スペースを失うということは、たった2つのタブでプロファイルを支え、維持しなければならなくなる事を意味しています。その結果、適切に翼をサポートすることができなくなってしまうという現象が起こるのです。
これらを踏まえ、現在では基本的なWingflex-systemの効果と考え方を失わずにこの問題に対処するための改良されたWingflex-systemともいえる配置を採用し(図3)、Dタブが配置されていなくとも翼端付近においてタブ間の距離がセンターと同じという事は無く、センターから翼端に向かって緩やかにその距離が小さくなるような配置がなされ、プロファイルを崩す事の無い範囲で最大の効果を生めるようにセッティングされています。

図3

ここまで見てきた通り、Wingflex-systemは、コンペティショングライダーのみならず全てのグライダー、例えDHV1グライダーであっても、一切の副作用も無しに安全性の向上を図ることが出来る設計技術なのです。
これが今日、最も大きな理由となりWingflex-systemはパラグライダーの一般的な設計技術として広く採用されているのです。


Bruce Goldsmith